急な坂道駆け上ったら、今でも海が見えるでしょうか・・・




昭和の懐かしい浴場 1




とある谷戸の小さな銭湯へ久しぶりに入浴に行きました。
もう7〜8年訪れてないけど、まだやってるだろうか？
今も残る古い長屋（写真は日中に撮影）の路地裏を抜けて・・・



ありました！ 以前来た時のままの姿です。
初めて訪れた時はそのバラック然とした外観に随分と驚かされたものでした。
この暖簾をくぐると時を越えて、昭和三十年代にタイムスリップできます。
時空のひずみによって、過去の世界よりこの浴場が目の前に現れている…そんな錯覚すら覚えます。



暖簾をくぐりおばあちゃんに御代を渡します。
今日は嵐の日なので木々が揺れて、ガラス窓もカタカタいっています。
古ぼけていい味を出した下駄箱に靴をしまいます。



実は隔日営業なんです。入浴チャンスは火木土日だけ。
この谷戸に住むお年寄りの為に営業をしています。
もう建物もこんなに古くなってしまって改装もままならず、何度か廃業しようと思ったそうです。
でもお風呂に入りに来てくれるお年寄り達を思い、出来る限り続けてゆこうと今日もお風呂を沸かします。



この絵にあるトヨタ・コロナは38年前、昭和40年頃のモデルです。
懐かしい方もいらっしゃるのではないでしょうか？
この浴場は昭和の初めに出来たと番台のおばあちゃんに伺いました。
昔はこの狭い谷戸だけで3軒もの銭湯があったそうです。



男湯に浸かります。
今時のスーパー銭湯のような派手さや設備演出は何もありません。
でも私はこの素朴な味わいが好きで、わびさびを求めて各地の銭湯を訪問します。
この谷戸の小さな銭湯の浴槽に身を沈めると、やさしい気持ちになります。
外は嵐で空が鳴っています。
やはり、あたかも昭和の時代にタイムスリップしてしまった錯覚を覚えてしまいます。


（つづく）


（浴場内は許可を得て撮影しています）
(取材日 2003年4月5日)

【追記；残念ながら2004年6月27日をもって廃業してしまいました】



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